お待たせしました。
ここからの価格帯はハイエンドモデルと言われるもので、メーカーが時間も金も知恵も使ったプライドそのものであり、メーカーの色そのもの。
こう書くと、メーカーの色付けが凄く濃い音とか思うでしょ?
ところが、この価格帯からは、いわゆる音楽を楽しむだけのイヤホンから、イヤーモニター側になるので、いかに原音を素直に、綺麗に、正確に気持ちよく自然に鳴らすか、ということに主眼が置かれる気がします。
なので、再生するプレイヤーの特性、アーティストやエンジニアの意図、音質の特性はもちろん、フォーマットの良し悪しがハッキリ現れます。
その全てを、レントゲンかって程に、丸裸に暴こうというモデルが、イヤーモニターと思っていただいていいかな。
メーカーでの違いは、音の帯域のバランスと、表現の違いかなとも。
その制約の中で、いかに自分達のカラーを上手く入れるかというのが、ここからのモデルになります。
前回の説明通り、ダイナミック型とBA型は、それぞれ一長一短。
そこで、素人の僕でも考えつく訳なんです。
それなら、2.1chのサブウーハーのように、ダイナミック+BAの2ドライバーにしたら解決じゃん!と。
メーカーも勿論同じこと考えるんですが、相反する特性の物を合わせるのは、そんな簡単な事ではないようで、逆にお互いの良いところを潰し合うか、水と油のように二層にバラバラになってしまうそうです。
で、このダイナミック+BA型。
国内外の様々なメーカーから既に発売されているんですが、とてもバランスが悪く、不自然な破綻した響きになってるんです。
結果、音楽に集中できない。
ところが、このオーストラリアの新しいメーカー、Audioflyの物だけは、不思議とうまーく、自然に、滑らかに溶け込んだ響きになっているんです。
ダイナミック+BAだと、現在の最高峰なのかもと感じます。
スピード感ある、締まりのあるローと、自然に綺麗に伸びるハイ。
その真ん中は谷間にならず、上手くクロスオーバーしているためなのか、ボーカルに色艶があります。
モニター的というより、とてもオーディオ的な、豊かな響きと空間感を表現しますし、同価格のヘッドホンよりいいんじゃないかな?
今回紹介の中だと、一番コスパに優れていると思います。
万能型のトライアスロン選手みたいなやつです。
一点だけ難を上げると、耳穴に突っ込むステム部分が割と太め(欧米人向け)なので、耳穴の小さい人だと収まりがイマイチかも。
あと、このステムに合うチップも合うのを探すの大変かな?
まぁ、最初から色んなチップが付属していますがね。
前回の説明だと、1.2の中間で1寄りかな。
個人的には、見た目も好きです。
メーカーはモニター扱いしていますが、個人的にはモニターと言うよりは、モニター寄りのサウンドだと思ってます。
今回紹介のものだと、唯一のダイナミック1発。
土台の低音が、ダイナミックらしくしっかりしているのですが、粗さ、雑さを極限まで無くして磨き上げています。
音は濃いがしつこくなく、素晴らしい絶妙のバランスで、奥行きの表現も素晴らしい。
さすがは質実剛健のドイツ製。
こちらもまた万能型で、同価格のヘッドホンより音はいいと思います。
Audioflyが少し若くヤンチャなタイプだとしたら、こちらはもうちょっと余裕のある大人な感じ。
多分そこは、低音の柔らかさと、高域の余裕の差だと思います。
ライブハウスと、ホールの違いに近いかもです。
この場合、ゼンハイザーがホールですね。
面白いのは、付属の器具で、低音の出力をイヤホン側で変更出来る事。
普段聞く音楽のタイプに合わせて、心地よいところでセッティングすると、より長く付き合える相棒になる思います。
難点は、前回紹介のIE60同様に、ケーブルが弱いこと。
しかし、こちらはリケーブル出来るモデルなので、より長く使えると思います。
あと、個人差はありますが、僕の場合、耳への収まりがイマイチだったので、ベストポジションを探すのが大変でした。
今回紹介のだと、ロック向きなのに、1番オトナの色気ある鳴り方をすると思います。
こちらは、BA型の3ドライバー。
実は自分は狙ってるのが、SE525LTD。
真っ赤なボディーに惹かれてるんですよね。
かと言って、キャスパル兄さんのモビルスーツのように、ノーマルタイプよりも3倍優れている訳ではございません。
前2機種と違って、よりモニターです。
なので、解像度は非常に高いですが、空間感は少なく、CADで描いた図面のように、全ての音をとても平面的に、丁寧に、正確に、分析的に、綺麗にトレースした音を鳴らします。
そのため、今回紹介の中だと、一番音数というか、情報量が多く感じます。
例えばギターだと、どのような角度でピックを当てて、どのあたりを弾いてて、指板をどんな感じで押さえているか、ベースの指弾きだと、指の形が見える位に、ボーカルだとマイクとの距離や口の開け方、ドラムだとシンバルのどこをどのように叩いたのか、ハッキリクッキリと描写します。
割と、現在、過去に楽器をやってて、音楽を作った人や、耳コピしてた人には喜ばれると思いますが、音場や空間感を大事にする人だと、つまらない音に聞こえるかもしれませんし、情報量が多すぎて疲れるかもしれません。
例えるなら、4Kテレビのような感じ。
逆に、空間感がないからか、ボーカルがすぐ隣で、耳に向かって歌ってる?と感じる位に近いです。ブレスも全て漏らさず聞こえるほどです。
臨場感はとてもあります。
僕は生真面目で正直なShureの音が好きなのと、頭を振ってもズレない程に耳にフィットするので、これが欲しいんです。
ノーマルの535と、LTDの535、何が違うかというと、値段と、色と、高域のフィルターが異なること。
LTDの方が高域が出るというか、伸びます。
とは言っても、そこはさすがShure。刺さる高音ではなく、高域に余裕がある感じに、かなり綺麗に伸びます。
そのため、全体的に余裕が出るのか、個人的には音全体のスピード感が上がった感じを受けました。
締まりがよく、筋肉質になった感じです。
ノーマルが2000m選手だとすると、LTDは短距離選手。
ギターだと、テレキャスの倍音を含んだジャキジャキ感、アコギの表現が、瑞々しく新鮮なところが気持ちいいです。
音の鮮度で言えば、今回紹介の中だと1番かな。
人によっては、ノーマルとLTDで差はない、ノーマルの方が低音がある、柔らかいという評価も多いので、実際に聞き比べても差を感じない場合は値段が低く、渋く飽きのこないブロンズカラー、もしくはクリアのノーマルの選択はありだと思います。
1/23から価格改定で高くなったので、コスパは一番悪いかも。
あと、遮音性が抜群すぎるので、外を歩く時はかなり気を付けましょう。
こちらも、BA型の3ドライバー。
このメーカー、日本だと一般にはマイナーで、知らない人が多いのですが、米国の三大イヤモニメーカーは、Shure、UE、そしてこのWestoneです。
その中でも、1番歴史が長い老舗がここ。
Shure、UEも、初期の頃にはWestoneに技術協力して貰って、かなりお世話になってます。
プロからの信頼も絶大なこのメーカーですが、このイヤホンの最大の特徴は、特徴がないこと。
極めて、拍子抜けするほどに普通なんです。
そりゃそうです。
プロが現場で、全ての音を正確に確認する為に生まれた物ですから。
あまりに普通過ぎて、Shureでさえ味付けが濃いと感じるほどです。
ところが、この普通がですね、素晴らしいのです。
例えるなら、混じりっけのない水か、空気ですね。
全てが正確に鳴っていて、情報量は多いのに、なぜか聞き疲れしない感じで、何のひっかかりもなく耳に音がスッと入ってきます。
優しい感じと言えばいいのかも。
特にボーカルの描写はピカイチですね。
ひょっとしたら、1番飽きないで長く使えるのは、これなのではないか? と思います。
小ぶりなボディーは、付け心地はShureよりさらにいいかも。
Shureの535、このWestoneに関しては、プレイヤーの性能、コーデックにとても左右される感じがします。
悪い音源は、そのまんま悪く聞こえますからね。
個人的に、出力がかなり低いSONYのウォークマンだと相性が悪いと思ってます。
ここは、ハイインピーダンス(抵抗値が高い)SE535も同様です。
駆動力の低いプレイヤーだと、本来の力を発揮しきれません。
それが今日現在、SONYの最高峰のZX1であっても、SONYは出力が低いので。
難点は、プロ用のためか、飾りっ気がゼロの見た目。
これが3万超えたものだとは、誰も思わないでしょう。
逆に、飾り気を完全排除したプロ用と割り切ればカッコいいのかも。
ま、耳に入れてしまえば、中に収まるので、見た目は気にするほどでもないんですがね。
この前の生産終了の機種、10Proというのは神器の誉れ高く、生産終了の今でも、中古でもそこそこの値段で取引されてますね。
高価でハイパフォーマンスなイヤホンを、一般に浸透させた機種でもありました。
このUE900sは、10Proとは味付けが異なるのですが、人気ありますし、評価は高いですし、実際に売れてますよね。
今回紹介のものだと、1番の多ドライバーで、高域1、中域1、低域2の4ドライバー。
聞いた感じ、僕の感想は、音離れがよく、解像度が高く音が軽やか。
圧迫感がないです。
空間感もあり、音の定位もよく、音場がとにかく広い。
野外フェスのど真ん中か!ってほど広大です。
高音が、刺さらない程度に綺麗にキラキラしてます。
ほんと、キラッキラ。
しかし、僕にはこのキラキラが眩し過ぎました。
低域も出てるのですが、深くなく、若干浮わついた感じがします。
試聴には、レッドツェッペリンのFLACのハイレゾ(96KHz/24bit)を使いましたが、ボンゾのバスドラ、フロアタムの胴が浅くなり、ジョンジーのベースアンプが、真空管アンプからトランジスタアンプになったように感じました。
ペイジのアコギも、気持ちスモールになったような。
Shureとは、音楽的に正反対の音でした。
とても綺麗で気持ちいい音には変わりないのですが、僕の聞く70年代前後のブリティッシュロックにはあまり合わないイメージです。
こう、生々しさが前面に出てるアナログなものはニガテなのかもしれません。
ただ、あまり大きくないライブハウスに見にいく事が中心の自分には、この手の音に慣れていないのかもしれませんが。
なので、貰えるなら貰いますが、僕が身銭を切って買うことはない気がします。
試してはないですが、Jポップや、マイケルジャクソン、レディガガあたり、アコースティックな編成のバンド、ピアノジャズ、バイオリン主体の音楽、80年代のパンク、ニューウェーブあたり、シンセが多く入った音楽、オーバーダブが多いものだと、特有のキラキラ成分が気持ちいいかもしれません。
そこは、聞く音楽と、好みの問題。
10Proより耳への収まりはいいですが、ゼンハイザーよりも耳からズレやすいかもです。
UE900とUE900sという機種があり、ブラッシュアップしたものがUE900sです。
安いからと、間違ってUE900ではなく、買うならUE900sですよ。
いかがでしたか?
今回紹介したものに共通しているのは、コシ器でコシた?
という位に、音の粒子が細かく、繊細で綺麗な事です。
とにかく、耳に刺さらない伸びやかな透き通った高音は圧巻です。
ほら、ロックをガンガン聞いてると、特にシンバルが耳に刺さると思うのですが、そこが皆無です。
むしろ、そこすら優しく伸びやかで気持ちいいです。
もし、この価格帯を希望の場合は高価なので、耳にしっかりはめて、いつも使っているプレイヤーで、何度も試聴する事をオススメいたします。
5000円未満から、今回のハイスペックのものまで、僕の耳での、あくまで個人的な趣向となります。
これが紹介されてない!
自分の使ってるのは悪いの?
ではなく、ラーメンの好みと同じで、あくまで本人が満足できるものを、予算に合わせて、フィット感に合わせて選択いただくのがベストですよ。
イヤホンという最高の相棒で、音楽をより楽しく聞き、音楽から何かを感じ、心を震わせる
ここが1番重要な事かな。
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